Silk Cocoon

未来に在る思い出を探して綴るアイカツおじさんの日記

アイカツスターズ!第15話「月と太陽」感想

こんにちは、絹保です。

今日はスターズ15話を観た感想を書きます。

香澄姉妹物語、後編。太陽と月は寄り添うことが出来るのだろうか。

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宣戦布告。立ちはだかる壁

 四ツ星学園の一年生が入学してから三ヶ月が経過し、どれだけ力が付いたか実力テストを行うことになった。なんと、1位になった生徒はS4のメンバーとユニットを組みステージに立つことが出来るといいます。美組の生徒たちが「夜空先輩とユニットを組める」ことに期待をふくらませる中、真昼ちゃんだけはただ一人、みんなとは違う目的に燃えていました。

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 真昼ちゃんは見事、美組で1位になります。他の組では、歌組はローラ、劇組はあこちゃん、舞組ではハルカ☆ルカちゃんがそれぞれ1位となり、一言意気込みを発表します。しかし、真昼ちゃんのそれは明らかに宣戦布告でした。
 そんな真昼ちゃんに対しても、夜空先輩はユニットが組めることにウキウキで、つっけんどんな態度を取る真昼ちゃん相手でも楽しく打ち合わせをしていました。誰よりも実力を認め、誰よりも勝ちたい気持ちが強い真昼ちゃん。夜空先輩に付いていき、その仕事ぶりを見学します。そこで目の当たりにしたものは、自分とは桁違いの力を持つ姉の姿でした。

 

 真昼ちゃんの表情から見て取れるように、夜空先輩のステージはとても眩しく、見蕩れてしまうものでした。真昼ちゃんは「いまの自分では到底敵わない」と思ったことでしょうか。ゆめちゃんたちの元へ戻ってきたときには、食欲が無いとも言っています。ショックだったのでしょう。
 結果の予想が出来ていても、実際に目の当たりにしたときのショックというものは、自分で思っている以上に大きい場合があります。凄い実力を持っていることは判っている、でも実際に観ると迫力が違った、自分では勝てないと思った……、真昼ちゃんはそんなふうに感じたのだと思います。

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圧倒的な存在:『アイカツスターズ!』15話より

似た者同士。見透かされる本心

 戻ってきた真昼ちゃんは、どうして夜空先輩を超えることに拘るのかを、みんなに話します。かつてはとても仲が良かったこと。姉が自分を置いて遠いところへ行ってしまったことが悔しかったこと。そんな姉を見返してやりたいこと。そんな真昼ちゃんの姿を見て、小春ちゃんは心配していました。

 一人で無茶な特訓を続け、過労で倒れた真昼ちゃん。その知らせを聞いた夜空先輩は保健室へ駆けつけました。どうして無理をしたのかと訊かれ、ムキになり自分のことなど放っておけ、と言い放つ真昼ちゃん。夜空先輩はつい熱くなり、手を上げてしまいます。靴も履かずに保健室を飛び出す真昼ちゃん。夜空先輩は自分の行動を悔やみ、妹を追いかけることが出来ませんでした。一部始終を見守っていた保健室の先生は、ボロボロになった真昼ちゃんのシューズを夜空先輩に渡し「あなたがここに来た時と同じ。やっぱり似てるわね」と言いました。

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 先生の言葉からして、夜空先輩も過去には無理をして倒れたことがある様子。恐らくS4になる前の話かと思いますが、その姿が今回の真昼ちゃんの姿に重なって見えたのでしょう。もしかしたら今回の件に限らず、二人が似ていることには早くから気付いていたのかもしれませんね。まぁ香澄姉妹の他にも、これまで多くの無理をした生徒を診てきたはずであり、そういう子たちの気持ちも、人一倍理解していことだと思います。

 各組の先生、山口FD、岡元二郎監督、幸本社長など、スターズでは大人の登場人物を何度か登場させ、印象を付けているように感じます。まぁ「アイカツ!」初期ではスターライトの先生も大勢出ていたのですが、いつの間にかジョニー先生と学園長だけになりましたよね……。

 大人キャラだけのドラマが欲しいとまでは言いませんが、こうして先輩だけでなく、何かと縁のある大人からもアドバイスを貰えるのは、ゆめちゃんたちにも良い経験となると思いますし、私はこういうシーンがとても好きです。

 夜空先輩に叩かれた真昼ちゃんは、なんと学園長の元へ直接ステージの辞退を申し出ます。その話はすぐに広まり、小耳に挟んだ小春ちゃんは、真昼ちゃんの部屋を訪ねました。
 真昼ちゃんと夜空先輩との過去を聞いた小春ちゃんは、強がっているだけで、本当は夜空先輩に振り向いて欲しいのではないか、と真昼ちゃんの本心を感じ取ったようです。それを真昼ちゃんに伝えると、逆に真昼ちゃんの心を乱し、怒らせることになってしまいます。
 誰よりも心配する小春ちゃんの気持ちも、いまの真昼ちゃんには上手く伝わらず、真昼ちゃんはまたさらに心を閉ざしてしまいました。

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 同じ美組だからというのもあってか、小春ちゃんは真昼ちゃんのことをとても気にかけており、細かい変化にもよく気付いています。8話でも咳き込んでいるのを見てのど飴を渡していましたね。きっと子供の頃からゆめちゃんのことも常に気にかけていたんだろうなぁ……。

伝えたい思いを抱いて。キモチが今ひとつになってく

 同時刻。S4専用寮では、夜空先輩が淋しい顔をしていました。薄着で屋外に居ることを心配するひめ先輩。夜空先輩は、真昼ちゃんにステージを辞退されてしまったことから、自分が妹に向けていた愛情が間違っていたのか、悩んでいました。ひめ先輩は、姉が妹へ向ける気持ちに間違いなどないと言い、妹へ伝えたいことがあるのでしょうと問いかけました。
 夜の庭園。本心を見透かされた真昼ちゃんは部屋を出て、星空の下で一人佇んでいました。そこへ夜空先輩が現れ、驚きを隠せない真昼ちゃん。夜中にそんな薄着で、S4がそれで良いのかと言うと、夜空先輩はS4である以前にあなたの姉である、と答えました。
 
 自分が悩んでいるところへ、いつも来てくれたお姉ちゃん。私を置いて行ったくせに、私のことなんてどうでも良いと思っているくせに。それなのにいつも優しく接してくる。本当は何を考えているのか。真昼ちゃんは自分の中で様々な気持ちが入り混じり、だいぶ冷静さを欠いていたことでしょう。
 夜空先輩はそんな真昼ちゃんに、かつて真昼ちゃんが捨てたはずの「未完成のお絵かきコーデ」の絵を見せます。姉妹で遊んだ思い出が詰まったその絵を、夜空先輩はずっと持っていました。いつだってお姉ちゃんは、妹のことを想っていたのです。
 姉の本心を聞き、気持ちが溢れだす真昼ちゃん。涙を流しながら、お姉ちゃんと妹は仲直りをしたのでした。

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仲直り:『アイカツスターズ!』15話より

 

 今回の14話と15話は真昼ちゃん(香澄姉妹)の話の前後編でした。長々と結局あらすじを書いてしまいましたが、ここから各所で思ったことをば。

 真昼ちゃんが部屋に閉じこもり、心を閉ざしてしまうところ。あのシーンでは、「アイカツ!」第20話、ユリカ様のスキャンダル回を思い出しました。ショックな出来事があり、心を閉ざす。その心を再び開くのは、いつだって大切な存在……。
 ユリカ様で言えば、スキャンダルをすっぱ抜かれ落ち込んでいたところ、友人の助けがきっかけで大切なファンのことを思い出し、心を開きプレミアムドレスを入手して完全復活をしました。
 真昼ちゃんの場合は、姉との圧倒的な力の差を感じていたところに、自らの不注意で倒れてしまい、そこへ追い打ちをかけるように(本当は大好きな)姉に叩かれてしまいます。そんな真昼ちゃんにきっかけをくれたのは友人である小春ちゃんで、姉から本心を聞いたことで心を開き、仲直りをすることが出来ました。どこか流れは似ていますね。*1
 実は真昼ちゃんと同じように、この流れは夜空先輩にも当てはまります。夜空先輩のショックな出来事は、妹から面と向かって拒絶されたことに加え、思わず手を上げてしまったこと。ひめ先輩が助言してくれたことで心の風向きが変わり、真昼ちゃんときちんと話すことで仲直りが出来ました。

 夜空先輩が「もっと早く話せば良かった」と言っていますが、実はこれまでのシーンでは、二人がきちんと話をしている場面がありませんでした。恐らく、真昼ちゃんが入学してから一度も無かったことでしょう。なぜなら、夜空先輩は「妹が(表面上は)本気で自分に対して強い対抗心を持っていること」に気付いていませんでしたし(妹の気持ちに気付いていなかったのではなく、あえて目を逸らしていたということも考えられますが……)、真昼ちゃんの場合はいつもぞんざいな態度を取っており、姉と話そうとしていなかったからです。
 だから保健室での一件は、姉にとっても妹にとってもショックな出来事だったはずです。こういうところまで、二人は本当に似ているわけですね。

 思うに、夜空先輩がS4のメンバーで無かったとしたら、二人の亀裂はここまで大きなものにならなかったかもしれません。真昼ちゃんは「昔は本当に仲が良かった」と言っているので、それまでは何をしても優秀な姉を尊敬しており、憧れの存在として見ていたんだと思います。しかし夜空先輩が四ツ星へ入学することを堺に、段々と姉に対しての尊敬が劣等感へと変わっていったのではないでしょうか。自分よりも優秀な姉だったけれど、自分を置いていった先ではトップに君臨していた……。S4の制服は、それだけで距離を感じさせるものだったのかもしれない。

 仲直りをしたあとでも、真昼ちゃんが目指しているのはS4では無く、あくまで「お姉ちゃん」ですからね。真昼ちゃんが感じる劣等感の一つに「S4」という存在があったかもしれません。
 真昼ちゃんが思い浮かべる「姉のすごいところ」の中には仲間が多いというものもあったため、尚更そう感じます。真昼ちゃん、8話で他の美組の子が言っているように話しかけにくい雰囲気があって、友達も多くないんじゃないかな。それなのに姉にはS4の仲間も居るし、姉に憧れている人も大勢居る……。真昼ちゃんが抱えていた感情(姉に憧れる気持ち)は、誰にも判らないくらい、真昼ちゃんを苦しめていたのかもしれない。そう考えると、小春ちゃんたちと友達になって、だいぶ救われたことでしょう。一人で居たことで、笑顔も忘れてしまっていたわけですし、さらに言えば夜空先輩と仲直りすることなんて絶対に無理だったはずです。アイカツのシリーズは、本当に友達の偉大さを教えてくれますね……。

 友達も大切ですが、今回の話では姉妹の絆の美しさが描かれていました。「アイカツ!」でも兄弟姉妹は何人か登場しましたが、香澄姉妹のようにメインキャラで、となると話は別。なので姉妹でアイドルというのは、初の試みとなります。*2
 メインキャラであることから、今後の登場は多いと思いますし、甘々お姉ちゃんな夜空先輩も普段の大人な雰囲気とギャップがあってかわいいですし、今後が楽しみです。いずれは「未来トランジット」もデュエットして欲しいですね。

 というわけで14話と15話は、香澄姉妹が歩み寄り、お互いに成長する美しいお話でした*3

 真昼ちゃんのDCD参加に合わせての話だったため、かなり作りこまれていたように思いました。この話を観たリアル世代の子たちが、姉妹の大切さを判ってくれたりしたら嬉しいなぁ……。

 また、12話のツバサ先輩に続き、S4のメンバーでも「完璧ではない」面が描写されていたのは印象的でした。夜空先輩も誰かに助言をされないと気付かないことがあったり、感情のまま思わず手を上げてしまうこともある。だってまだ15歳の女の子です。いくら大人が大勢居る世界に居るとは言え、まだまだ年齢としては子供。こういう失敗だってたくさん重ねることだと思います。人が成長する話は、人を感動をさせる。

 まぁとは言っても、夜空先輩の前では妹だった真昼ちゃんも、ゆめちゃんたちの前では大人っぽいところをまた見せて欲しいですね。

おまけ。余談

・いいですとも〜。バラエティ番組ネタが多いアイカツシリーズ。既に終了しとるがな、という野暮なツッコミはよしましょう。

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・ハルカ☆ルカちゃん役の仲谷明香さんは元AKBのメンバーで、声優になるためにAKBを卒業した人。そんな人が声優としてアイドル役になっているのは感動すら覚える話で、まさに「夢は見るものじゃない、叶えるものだよ」を体現している*4

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・夜空先輩が持っていた四ツ星学園のパンフレットは2014年のものであるため、アイカツスターズの本編は現実と同じ時間を進んでいることになる。ちゅうか2016年夏フェスって書いてある。「アイカツ!」では空白の一年のこともあり、劇中で西暦を表記したものは登場していない*5

・ステージ上での夜空先輩と真昼ちゃんの動きには若干の差があり、一年生ながらエリートとされる真昼ちゃんでも、やはりトップアイドルである夜空先輩には敵わないんだなと感じさせる瞬間。

・先生陣とS4に夏服は無いのだろうか。

アニメディアのピンナップが素晴らしいので、みんなチェックするべし。

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 ではでは、今日はここらで一区切り。

絹保

・合わせて観てもらいたい動画

www.youtube.com

*1:珠璃ちゃんのときとも似た流れかもしれない。新キャラ登場時の前後編という点でも共通している。

*2:音城姉妹に関しては、ノエルちゃんがデビュー前だったので例外

*3:朝陽……

*4:正確には「AKB0048」でも声優として出演しているけど、あれはまだAKB現役の頃だから例外

*5:……たぶん